「100万人のキャンドルナイト@増上寺」を通して感じるイベントとの向き合い方

■執筆者  オイシックス・ラ・大地株式会社 牛島 真也

■執筆日時 2019年4月12日

18歳の時、アルバイトで舞台音響の仕事に関わるようになり、その後も舞台技術会社、放送局のイベント部、企業のイベントセクションなど、所属は変わりつつもほぼずっとイベントに関わる仕事に携わらせていただくうちに30年が経過しました。
あらためて、自分はイベントが好きなんだなと実感しています。

とはいえ、昔から自分自身がスポットライトを浴びるのは苦手で、文字通り、裏方/バックステージを好んで担当してきました。これからもステージ袖や客席後方から、参加者/オーディエンスの笑顔を見て、心の充電をしていけたらいいなと思っています。余談ですが、オーディエンスとして劇場に行く時でも、後方の席に座って全体を俯瞰するのが好きです。

今日は、私が長らく携わっているイベント、「100万人のキャンドルナイト@増上寺」を通して感じたことを少し書かせていただきます。

「100万人のキャンドルナイト」は、2003年に私が所属する大地を守る会(現・オイシックス・ラ・大地)などが中心となって開始されました。
「でんきを消して、スローな夜を。」を合言葉に、夏至と冬至の夜8時から10時の2時間、電気を消してロウソクの灯火の下、ひとりひとりがそれぞれの場所でゆっくりと考える時間を持つことを提唱するムーブメントです。

大地を守る会では、このムーブメントのシンボリックなイベントとして、毎年、夏至に近い土日いずれかの日、東京港区芝の大本山増上寺で、「100万人のキャンドルナイト@増上寺」をFMラジオ局のJ-WAVEさんと共催しています。アコースティックなステージ、エコなブース/キッチンカーなどを展開する入場無料の音楽フェスで、これまでに忌野清志郎さん、一青窈さん、高橋優さん、藤巻亮太さんほか、さまざまな方にご出演いただいています。

このイベントを制作/運営していて、毎年つくづく感じるのは、「主催者/制作者の思いは、参加者/来場者に伝わる」ということ。至極当たり前のことかもしれませんが。

私自身が音響担当、舞台担当として関わるイベントでも常々感じることですが、各イベントごとにカラーやテイストがあり、参加者/来場者の雰囲気も様々です。当然のことかもしれませんが、「エコ」や「スロー」であったり、「エシカル」といった、主催者/制作者が持つ思想/価値観のようなものについても、映し鏡のように出演者や参加者/来場者の行動に少なからず影響を与えているように感じます。

100万人のキャンドルナイトは、「人に地球にやさしい暮らし」を提唱していることもあってかお客様からもそうした雰囲気を感じます。会場にはやさしく穏やかな空気が漂い、来場者の動きはこころなしかスローで、来場者同士で笑顔で語り合う姿なども見られます。会場内もクリーンで、ゴミなどもほとんど落ちていません。他の音楽フェスなどについても、おそらくそれぞれのイベントごとに来場者/ファンのカラーがあるかと思います。

毎年、キャンドルナイトの時期が近づくと、コンテンツや演出を工夫するだけでなく、まずは背筋をしゃんとして、イベントそのもの、そして関わる方々ときちんと向き合わないといけないなあと心を新たにしています。

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