新しい世界のであいを求めて
■執筆者 横田 郁子
■執筆日時 2002年11月15日
私が、イベントの世界へ足を踏み入れたのが、1987年今から15年ほど前である。地域の祭りや地元のイベントを見に行くのが好きだった私。しかし、まさか自分がその作り手側になろうとは、思いもよらなかった。
博覧会の運営に携わって2年目、博覧会のすばらしさと大きな感動を私に与えてくれた現場に出会った。89年に福岡で開催された「アジア太平洋博覧会-福岡‘89」である。半年間の会期中に820万人を超える入場者を迎え、大成功を収めた。その時の業務は、220名のコンパニオンを教育、管理し会場サービス業務を行うことであった。19歳~45歳までの九州女性を管理することは、かなりの苦労があった(はず)。今思うとそこでの苦労や出会い、そして感動が、私を博覧会の虜にしてしまったのだと思う。そして“よかトピア”のテーマ、『新しい世界のであいを求めて』が、私の博覧会人生のキーワードともなった。
博覧会の魅力は、「であいと感動」
92年スペインで開催されたセビリア万博をはじめ、韓国、ポルトガルと3つの国際博覧会に参加することができた。はじめて、外側から日本や日本人について考える機会となった。ヨーロッパやアジアにおける我が国が、どのように見えているのか、感じられているのか、どれほどの情報が伝わっているのかなど、恥ずかしながらこれまではあまり考えもしなかった。(勉強不足ですみません)日本から35名の若き精鋭(女性)たちを引き連れ、スペインに乗り込んだ(まさしくそんな意気込みだった)。そして、巨大なパビリオン『日本館』での業務は、現地スペインのアテンダントと合計100名を超える大所帯で行うこととなった。
言葉の違い、文化の違いなどにてこずったこともしばしばであった。しかし、スペイン及びヨーロッパでの日本に対する感心(興味)の高さを知ることができた。会場運営の視点で見ると朝9時30分から翌朝4時までの開場時間にまず驚いた。日本では、考えられない。アテンダント(アサファタ)の接客に対する姿勢やマナーは、日本とは大きく異なる点が多々見受けられた。我々が参考にするべきものも多くあった。
来場者主体型で強制感のない対応。スタッフとお客様という距離はないフレンドリーな接遇。そのまま、日本で取り入れるときっと「不親切」という評価が多くあがるであろう。日本人は、サービスされることに慣れすぎている。その分見る眼も厳しいので、サービスの水準が高いということになるのだろうか。
今年、日韓共催で開催されたワールドカップの開催イベントの仕事に携わった。大会会場にやって来た各国のサポーターたちと日本人サポーターとのコミュニケーションを見て、国際博の会場と同じようなムードを感じた。
日本の地方都市での大会にこれほど多くの外国人が集まることは、かつてなかった。
町をあげての歓迎ムードと会場でのふれあい、片手にメモを持ちながら「Welcom!」と声をかける微笑ましい光景が町中に拡がる。開催期間中に日本を訪れた外国人サポーターたちの心に日本や日本人に対する新たな発見を生む機会になったことは確かであろう。
この10年、博覧会のスタイルや来場者のニーズも少しずつ変化を遂げている。自分流に博覧会やイベントを楽しめるひとも増えているのではないだろうか。私たちの試行錯誤は続く・・・。
博覧会とともに歩んできた者として、2005年の愛知博が日本の新たな一面を世界に向けて発信する素晴らしい機会となることを願わずにいられない。
◆プロフィール
1960年札幌生まれ。
87年アクティオ㈱入社後、国内外の博覧会での会場及びパビリオン運営業務を重ねる。アジア太平洋博(89)、大阪花博(90)、三重まつり博(94)、佐賀ほのお博(96)等多数経験。
海外では、セビリア万博(92)、韓国大田博(93)、リスボン博(98)での「日本館」運営に携わる。
99年㈱キュービックファクトリーに移籍後も運営及びスタッフ教育・管理のノウハウを活かし、各種イベントに取組んでいる。