― ニューヨークに行ってきました! ―

■執筆者 関東地域副本部長 奥野 圭
■執筆日時 2009年12月3日
 
100年に一度の経済危機、政権交代にデフレ、新型インフルエンザに急激な円高!そんな中、時期外れの休暇(一応夏休みです)を取ってニューヨークに行ってきました。

仕事の都合もあって、ここ数年間は年に1~2回NYを訪れていますが、今回の目的はミュージカルを観て散策してのんびりすることでした。しかし、今回は気になる事が多かったので、イベントに直接関係はありませんが、ちょっとしたニューヨークリポートをお送りします。なぜなら、劇的に変化する社会に柔軟に対応して企画/制作・製作・運営してこそ、イベントの真価が問われるのは明白だと常々考えているからです。

さて、近視眼的ではありますが、円高に浮かれてウキウキしながら成田空港に到着し、旅行客が少ないことにまず驚かされました。こんな時期に遊びに行く人もいないのでしょうが、楽しいはずの私の旅行も苦難や不幸を背負ったしんみりとした旅立ちに感じてしまうほど、空港ロビーは閑散として寂しい限りの光景でした。

もちろん飛行機もガラガラ。個人的にはゆったりできてうれしいのですが、最近の報道を見聴きする限り、余計に心配してしまいます。

空港からNY市内にタクシーで移動していると、いつになく渋滞が激しい。何があるのかと思えば、遠くにヘリウムガスで浮かんでいる巨大な風船のミッキーマウスが見えます。そう、あの有名なMACY’Sのサンクスギビングパレードの日だったのです。あいにく遠目にしか見られませんでしたが、偶然とはいえ、もっときちっと調べてから計画するべきでした。

ホテルのチェックインを済ませて、お目当ての劇場に向かっていて気付いたこと。
サンクスギビングで休日のはずなのに、以前来た時より人が少なく白人も少ないこと。元気な人は日中短パンにTシャツ1枚で歩いているほど暖かいこと。そして、ブロードウェイの中心であるタイムズ・スクエアのヴァージンレコードが閉店していたこと。

極端かもしれませんが、リーマンショックの影響と地球温暖化、音楽配信のネット化が確実に影響しているのではないかと率直に感じました。

人が少ないのは観光客が少ないためと考えられましたが、なぜかフランス語、中国語圏の方々の会話はよく耳に入ってきました。ニュースを見ていてもCO2排出の報道、つまり、温暖化の報道が目につき、持っていったダウンジャケットの出番はなく、MTVはなかなか音楽番組を放送しない。やはり、明らかに以前とは異なるNYを味わいました。
ミュージカルにも異変が…。

今回6本のミュージカルを木曜日(祝日)から日曜日にかけて観たのですが、満席は1度もなく、6~8割程度の埋まり具合で、過去に体験したことがない稼働状況でした。

公演が終わると、通常、皆ガヤガヤと楽しそうにおしゃべりながら劇場を後にするものですが、その雰囲気もどこか、いつものような陽気さが欠けていたように感じられました。出演者はプロとしてもちろん頑張っていますが、観客が少ないと拍手も少なく、空席が目立つと観客も作品を堪能した感じが薄れ、スタンディングオベーションも絵にならず、結果的に満足感も薄れるものです。

売れ残ったミュージカルの当日券が購入できる施設“Tickets”でも、通常なかなか当日券が手に入らない有名なミュージカルが20~50%引きで販売されている状況でした。

「こんなことなら、事前に購入しないで当日券で安く行けたのに…」とタラレバを言いたくなるような…。そんな状況でした。

市内に点在するクリスマス・デコレーションやイルミネーション、映画でよく見るロックフェラーセンターのスケートリンク、どこからともなく聞こえてくるクリスマスソング、そして、購買欲を誘う、華やかなクリスマスセールの広告。

馴染みのある映画の世界を想わせるイメージ通りのNYと、ここ1年の社会現象を如実に物語っていると実感したニューヨークに行ってきました!