コラボレーションによる ~未来に続く故郷(まち)づくり~

■執筆者 三島 敬子
■執筆日時 2003年2月15日
 
小さなまちのまちづくりにはイベントの存在が大きな影響を及ぼす。
 北海道のマチは今、市町村合併の風に翻弄されている。まちの倒産もあり得る時代なのである。そんな中何とか我マチらしさを残し、元気なマチを作りたいとイベントで動き出し、地域の魅力ある素材を生かし、生み出すことに力を入れている「まち」がある。
 身の丈にあった活動を楽しみながら我マチを美しく飾り、そこに多くの交流とコミュニティーが生まれている。そんなビューティフルスモールタウンを紹介したい。
      
1)北十勝に位置し然別湖を有する鹿追町(人口 6,028人)
「ハードや箱物はみんな揃い足りないのはソフト部分」と町長自ら動きだし、(ヤッカ)「2001年、花と芝生で美しいまちを・・・」を合言葉に「一家に八花運動」を起こし5月~9月まで花のイベントを実施。
 役場に花係をつくり町民の応援に務めた。運動の強化月間を設けたり週末のイベント開催で盛り上げ、まず町民が楽しみ波及効果をもたらすという活動「花パレットしかおい」も今年で2年が経過した。
2)後志管内、羊蹄山の麓にあるニセコ町(人口 4,539人)
今年、10年以上かかった「綺羅街道」の整備事業が終了し、今後はどうしたらまちに人が集まり、またどう楽しみ安らいでもらうかという仕組みを町民が主体なって実行委員会を組織し動き出した。「夏のニセコ生活劇場」は“花と潤いのある美しい町並み”がステージ。
 行政に頼らない住民組織力を作っていきたい。そのためには自らが動いてみせ、やってみて時間の経過とともに周囲から認知してもらうことが必要である。5年後には農業や観光だけではないニセコ業を目指したいと、今年から新たなスタートラインに立った。
     
二つの町の共通の認識と効果
 ・どちらのまちにも情熱的にまちを愛するリーダーがいること。
 ・花もイベントもまちの自立の手段であると考えている。
 ・地域のコミュニティー再生(元気・活気・人気)につながっている。
 ・来町者の感想や意見が町民の意識改革を促している。
 ・行政と住民・専門家とNPOとのコラボレーションの力。
 ・ハレの日型イベントからケの日型イベントへ
 ・経済効果がすぐに表れている。
 ・新しい産業(ビジネス)の創出につながっている。
 北海道の冬は白一色。だから夏の彩りが一層あざやかに感じられる。具体的にイベントを実施して感じた事をまとめながら、資格を持つ我々は今後、イベンターであると同時にイベントをやりたいまちのコーディネーターとしての存在が大きくなるのではないかと実感している。
 2004年度~やっと北海道も博覧会なるイベントが実施されようとしている。その名称は『オホーツクDOいなか博』道東の遠紋12市町村が参加する。
 通年型イベントや広域型イベントとして、規模は大きくないが、単に観光だけではなく自然環境のなかでのゴミ問題や子供の自然体験教育。住民ぐるみのホスピタリティーの醸成・地産地消など田舎のすばらしい自然と暮らしを全国に発信することによって、有形無形の資源や財産を地域(まち)の人々が再発見する。そんな“地域づくり”の場として捉えていくイベントを目指している。全国ネットを網羅しているJEDISだからこそできる応援が必要なのかもしれない・・・と感じている。

◆プロフィール
1976年、㈱セントラルプロモーション北海道設立。代表取締役就任。
コンベンション、文化催事のプロデュースをはじめ販売促進、広告宣伝計画及びマーケティングなど、道内及び首都圏で幅広くてがける。
また、地域振興イベントや商店街活性化計画等、道内自治体のまちづくりにも多く参画し、『まちづくりは心づくりから』を基本方針にその事業構想及び実施計画の策定を行っている。地域に根ざしたトータルプロデュース昨日をもつ組織づくりをめざしている。