「展示会」から「データベース商談会」への流れで感じること

■執筆者 飯田裕美 JEDIS九州地域本部・理事

■執筆日時 2020年9月14日

「展示会」から「データベース商談会」への流れで感じること

新型コロナウイルス国内感染拡大を踏まえ、『データベース商談会』へと移行した展示会が多数ある様子です。
また、展示会を開催するにあたっても、その仕様が実に様々であり、出展社を募ること自体非常に困難な状況を強いられているのではないかと思われます。
先日、あるクライアントから相談を受けました。例年出展している展示会に今年も出展すべきかどうか悩んでいるというものでした。
詳細を聴いていくと、ブース内での徹底したコロナ感染対策を行うことが前提事項にあげられていました。これはそうだと納得できるのですが、その上で、事前に出展者に配布される「招待状」。例年、各出展者に対し200通配布されていたものが、今年は2通の配布になり、完全予約制だと言います。来場者の激減は目に見えています。
会場は東京。私の住む地方大分県からの旅費やその間の人件費、小間代、装飾費などを合計したとして、どれほどの金額になるかは皆さまご承知の通りです。

データベース商談会は、登録した商品データベースを基に、バイヤーが商品を検索すると共に、多くの場合それを主催するコーディネーターが最も相応しいバイヤーに商品および企業情報を紹介し、個別商談をセットする仕組みです。
通常2~3日間の出展に対し、3か月程度閲覧可能にしているデータベース商談会が多いようです。
出展費が大きく減額される代わりに、1商談につき一定の金額を徴収されます。

「展示会」・「データベース商談会」、それぞれにメリットデメリットがあるかとは思いますが、個人的には、人間の持つ力が浮き彫りになりやすい「展示会」がやっぱり好きです。

私が、イベント業務管理士の資格を取得した時(1999年取得)のJEDIS研修で、イベントはマスメディアにおける唯一の“Face to Face”の媒体であると教わりました。
幾種の広告宣伝媒体を扱う中で、どうして自分がここまで「イベント業」に心惹かれるのかが心底理解でき、雲が晴れたような気持ちになったことを今も鮮明に記憶しています。

消費者行動の実態がAIDMAからAISASへと移り変わっていくとともに、「双方向性のコミュニケーションツール」が台頭してきました。 それらを組み合わせ、「データベース商談会」は開催されていきます。
個別商談は、ZOOMを使って開催されることが多いようです。地方在住者としては、ありがたい側面もありながら、PC画面のみでリアルと同様の対応力が求められることになり、これはこれで非常にハードルの高いものです。

人と人が実際に顔を合わせながら一つの目標に向かい、互いを認め合い、喜び合い、同じ場所で同じ空気を感じながら過ごす時間…
その宝物のような時間は、私たちイベント従事者の心にしっかりと記憶され続け、また形を変えながらも真意を外さない媒体として残していかなくてはならないと感じています。

デジタルとアナログの共存。
完全アナログ派の私も、日進月歩の変化を楽しみながら、時代に柔軟に進みたいと思います。