21世紀、心を照らす「京都・花灯篭」

■執筆者 関西地域本部長 平家 良美
■執筆日時 2010年1月20日
 
●「灯りと花」
 21世紀からはじまる京都の夜の新たな風物詩となることを目指して、平成15年3月から東山地域において、「灯り」をテーマとする新たな観光資源の創出事業である『京都・花灯篭』が始まった。京都を代表する寺院・神社をはじめとする歴史的な文化遺産やまち並みなどを、日本情緒豊かな陰影のある露地行灯の灯りと花により思わず歩きたくなる路、華やぎのある路を演出している。
 又、平成17年12月からは嵯峨・嵐山地域においても実施され、京都の新しい風物詩として定着している。足元を照らすのは、京焼・清水焼、北山杉、京銘竹、漆塗りなど伝統工芸による6種類路地灯篭。途中各流派家元らによるいけばな作品が展示されている。また、大学生による灯りの創作作品の展示、特設の「華舞台」を設置し、舞妓の踊りやミニコンサートが披露される。毎年100万人を越える来場者で賑わっている。

●京都を代表するイベント
 1.200年余の悠久の歴史に彩られ、世界文化遺産をはじめ数多くの優れた伝統・文化を有し、また四季折々に独特の風雅を醸し出す美しい自然に囲まれた都市景観を誇る世界でも類いまれな個性と魅力を持った国際文化観光都市京都。ここ京都において、新たな観光資源事業として神仏仏閣のライトアップが始まったのは1990年代初めである。その後、京都の神仏仏閣ライトアップは定着し、毎年全国から多くの観光客が訪れている。また、これらがモデルケースとなり、全国各地で歴史的建造物のライトアップが展開されている。この成功をもとに、更なる観光資源の創出、観光客の増加を目指し推進されたのが本事業である。本事業では点であったライトアップを線でつなぐことによって面的、いわゆる京都全体をライトアップするというイメージで展開されており、ライトアップの進化系といえる。
 学生や若手アーティストの作品を起用し、灯篭には伝統工芸作品を使用するなど、より地域や人に根差した参加型のイベントである。今では年間100万人以上を動員しており、いまや京都を代表するイベントといえるであろう。

●これからの京都
 この2年間、京都では「源氏物語千年紀」や「京都知恵博覧会」の様に既にあるものを1つにまとめて、町中をイベントに仕立て上げて全国に発信することで大きな成功を収めている。おそらく年間を通して集客できるのは、ここ京都以外はないのではと考える。それ程この町は“本物”が住む町なのである。
 昨年、京都では5千万人の入洛客を突破し、更に躍進するために、この夏ある秘策が練られているという。目が離せないところである。どこまでも本物を追求し、本物を提供するためにもイベントプロの鋭いスキルが一層求められる。昨今の京都に思うこの頃である。