地域に根ざした催事の成長を考える

■執筆者 中国四国地域本部長 中村 剛太郎

■執筆日時 2011年1月17日
 
私がかれこれ20年近く携わってきた山口県周南市北部地域で開催される「長穂ホタルまつり」というものを紹介してみたいと思う。(敢えてイベントという名称を使わずに催事として紹介させていただくことをお赦しいただきたい。)
この地区では農家の田植えがひと通り終わり、梅雨時期に入ろうとする毎年6月の2週目頃にホタルが乱舞を始める。市街地から車で約20分、年に一度のわずかな期間だけ乱舞を楽しめるこの地域は夕刻ともなると多くの家族連れやカップルで人口が急増するのがすっかり風物詩となっている。
そして6月第2土曜日に開催されるのが「ホタルまつり」である。
夕方から始まるステージイベントや、バザーなどは盛り上がり、特に午後9時に行われる1000匹の蛍の入ったくす玉割りなどは約3000人の来場者に夜空に舞う蛍の幻想的な光の感動を届けている。(雨さえ邪魔をしなければ最高のひとときがやってくるのである。)
この催事で、イベントに携わる私にとってある意味原点に立ち帰らされることが多々ある。
人口300人足らずの地域に毎年10倍にあたる人たちが遠く九州や広島からやって来る。それも著名なゲストや抽選の景品などとは縁のない、小学校のグラウンドで行われる催事に・・。何故であろうか?振り返ってみるとイベントのエッセンスが凝縮されているのだ。
1つはまさに手作りの催事であり、露天商など入れず地域のさまざまな団体のみ飲食バザーを出店し、その味に徹底的にこだわっていること。そしてすべて毎回高収益を上げていること。(収益が上がるので催事自体が継続していける)
2つに毎回地域のすべての世帯から3個から5個のジャガイモを提供してもらい、無料のふかし芋を来場者に振舞っていること。(地域住民参加型として地域振興にもつながる)
そして毎年3ヶ月前から5回程白熱する実行委員会を開催し、テーマや細部にわたる担当割り当てなどを行っている。
3つ目に雨天時の会場移動や開催規模などを協議している。(最低限リスクを回避)
4つ目に回を重ねるたびに新しいアイデアを取り込んでいる。昨年は来場者誘導のための竹灯篭を数百用意しそれぞれ協賛名入りで設置していた。
5つ目に地元中学校の生徒たちが会場内のゴミの分別収集に名乗りを上げて自主的に会場内を走り回っている光景が多くの来場者に感動を呼んでいた。
どこかイベントプランナーが居るわけでもなく、毎年の盛会で自然と住民の中に参加意識が芽生え、企画し、実施し、管理する体制が出来上がっているのである。(私は敢えて仕事から離れて毎回当日バザーのお手伝いに徹しているのだが・・・)

大したことのない地域の催事であるにせよ、毎回自分を原点に引き戻すきっかけにしてくれている「ホタルまつり」に接することのできる私は幸せなのかもしれない。