リレートーク

「BtoB展示会有効活用」

カテゴリー: リレートーク

■執筆者 理事 宮地 克昌
■執筆日時 2009年9月2日
 
◆セミナー依頼の増加◆

最近、BtoB展示会への出展で成果を上げるためのセミナーの依頼が増えてきた。依頼主は、展示会主催者や大規模展示施設、中小企業支援組織などである。出展者は、「出展業務の基本がまったく分からない」「高額な投資の割に効果がはっきりしない」「集まった顧客データを十分に活用できない」など、さまざまな問題を抱えている。

BtoB展示会では、企業やブランドのイメージを訴求するだけではなく、契約を獲得することが求められる。市場を創造する機会として、企業のマーケティング活動上で重要な役割を担っている。商品やサービスを提供する出展者と、それらを提供される来場者とが相互に満足できる交換を成立させる場がBtoB展示会である。業界団体のお祭りとして存在してきた展示会へのお付き合い出展は、ますます淘汰されるであろう。

◆キャンペーンの一環としての出展◆

成果を上げるためには、出展をまず、顧客との契約を獲得するキャンペーンの一環として捉えなければならない。来場者が出展者に対して好感を持ち、商品やサービスの提供を受けることによるメリットを理解し、社内で取引を検討した上で、契約にサインする。出展者による来場者の説得行為は、契約が成立して初めてその成果が確認できる。

しかし、すぐに行動に移らないのが人間および企業である。行動に移るためには、クリアしなければならない物理的な障害や精神的な障害がある。この障害を乗り越えるため一定期間を設定し、目標達成を目指して組織的・統合的に展開するのがキャンペーンである。したがって、開催期間中だけではなく、事前に行う来場促進プロモーション活動と、事後のフォローアップが重要となる。

◆「プロモーション発想」から「マーケティング発想」へ◆

出展者が持っている資源を有効に生かして創出された商品やサービスでも、ニーズなければ売れない。したがって、商品やサービスを来場者に「いかに売り込むか」という「プロモーション発想」ではなく、顧客のニーズを基本に商品やサービスを開発する「マーケティング発想」が望まれる。この時、顧客とは、直接取引がある顧客だけでなく、顧客の顧客、そしてエンドユーザーを含む。

成熟化社会における商品やサービスは、品質や機能においてほとんど差が無くなってきている。したがって、常に競合するものとの位置づけ(ポジショニング)を明快にしなければならない。そして、顧客が商品やサービスを購入し使用することによって生まれる意味や価値を明快に表現することが求められる。

顧客のニーズと商品やサービスのポジショニングを結びつける新しい考え方やビジネスの切り口がコンセプトである。アイデアにコンセプトを導入することによって、新しいビジネスの芽が発芽する。

マーケティング発想では、特定の顧客のニーズにターゲットを絞ることが大切である。来場者の集客ばかりに気を奪われてしまうと、成果を上げることを妨げる「エブリバディ・トラップ(everbody trap)」にはまってしまう。すべての来場者をターゲットとした展示内容は、すべての来場者にとって魅力のないものになる。

◆プレゼンテーション・マインド◆

展示会は、新規顧客を獲得するチャンスの場(機会)でもあり、また逆に、競合他社による既存顧客争奪の挑戦を受ける場でもある。このリスクをしっかりと認識した上で、チャンスを生かす積極的なプレゼンテーション・マインドが望まれる。

ブースのデザインから、商品展示、ノベルティ、解説パネルや映像などのコンテンツ、技術者による解説やステージ演出、接客、商談まで「すべてがプレゼンテーションである」というプレゼンテーション・マインドを持つことが大切である。

◆「“B&BtoC”マーケティング」◆

素材や部品、アッセンブリーなどのメーカーは、流通と協力し合って、消費者や生活者、利用者、住民など、エンドユーザーのニーズを満足させる。「BtoB」の取引の先には「BtoC」の市場があり、エンドユーザーとしての顧客の存在がある。
「釣りの名人は魚の気持ちになって餌をポイントに流す」と言われるように、釣り人が釣り具屋や釣り餌屋と共に魚を追い求める行為と似ている。BtoB展示会は、まさに「“B&BtoC”マーケティング」を創出する場である。


BtoB展示会への出展をサポートするイベント業務管理者は、マーケティングの知識をしっかりと学び、出展の成果が上がるよう、キャンペーン全体を視野に入れて業務を推進してほしい。